ちらしのうら

感情の言語化をめざして

特異点をささげること

ちぐはぐで、まったくやる気のないSFのような世界がやってきた日、わたしは「トップをねらえ2!」を観た。トップをねらえ2!は、新世紀エヴァンゲリオンなどを制作したGAINAX設立20周年の記念としてつくられたアニメーションだ。前作は1988年にOVAとして制作された「トップをねらえ!」(監督はいわずもがな庵野秀明。旧GAINAXの愛するトップクリエイターが多数参加しているからという理由で観た。

 

物語の世界では、人類は宇宙怪獣と呼ばれる存在と戦い続けており、その戦力となるのがバスターマシンというメカで、それを超能力で動かす「トップレス」と呼ばれる少年少女がいる。ラルクという褐色の超絶カワイイトップレスの美少女と、ノノという天然で天真爛漫な超絶カワイイアンドロイド美少女が出会うところからはじまり、友情が深まり、そうして地球を救うために別れが訪れる。

 

鶴巻監督がインタビューで「トップレスとは情報を別の情報に置き換える力(情報の再構築力)」だと答えていた記事を読んで、一般的に認知されている超能力という現実からかけ離れた摩訶不思議なものが、とても身近なものに感じた。たとえば、食材を調理して食卓を彩ること、一枚の布から洋服をつくること、折り紙を折って鶴をつくること。これらもトップレスなのだ。

 

子どものころ、超能力や魔法といったものに猛烈に憧れていたけど、大人になるとそういった感情が薄れていったり、あるいはなくなってしまうのは、きっと大人になるにつれてできることが、子どものころよりも増えるからなのだと思う。

 

じぶんには何もない、才能なんてない、なんて思っているひともたくさんいるかもしれないけど、みんな必ずトップレスを持っている。そう思うととても心が豊かになった。なにかを考えて作り出すことは喜びだ。きっとその喜びやプラスのエネルギーはだれかにもきっと伝わるもののはずだ。ノノが友だちでいてくれたらトップレスがなくなることが怖くないと叫んだラルクに、別れ際、ノノがラルクに自分の思いの結晶として折り鶴を残したように、どんな方法やかたちでもいいから、思いをだれかに繋げることの大切さをしみじみと感じる。

 

残念ながら現在のGAINAXには昔の面影はなく、人材はカラーやTRIGGERに移籍しているが、当時20周年を迎えたGAINAXが残した特異点は、それぞれの制作会社に受け継がれているのではないかなと思う。BNAも最高に面白かったし、エヴァの劇場版も楽しみだなあ。

 

 

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